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離婚の財産分与とは?分割割合や対象にならないもの・不動産の扱いを解説

離婚の財産分与とは?分割割合や対象にならないもの・不動産の扱いを解説

婚姻中に形成した資産は財産分与の対象となり、離婚時に夫婦で「2分の1」ずつ分け合う必要があります。
収入にかかわらず請求権が認められるため、専業主婦の場合も公平に分割するのが原則です。

協議の際にルールを理解しておかなければ、財産の分配に不公平が生じ、トラブルに発展するおそれがあります。

本記事では、財産分与の基本ルールや対象となる資産、不動産の扱いなどをまとめました。
分割方法に悩んでいる方や、持ち家の処分にお困りの方は参考にしてください。

離婚時の財産分与とは

婚姻期間中に夫婦で築いた財産は、離婚時に分配する必要があります。
民法第768条で「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求できる」と定められているためです。

財産分与の対象となるのは「婚姻中」に築いた財産です。
別居を経て離婚に至った場合は、別居前までに取得した財産が対象となります。

離婚時の財産分与における基本ルールや現状は、以下のとおりです。

  • 財産分与の割合は「2分の1」ずつ
  • 財産分与は「夫から妻へ」が8割以上
  • 財産分与は離婚後2年で請求できなくなる

詳細を見ていきましょう。

参考:民法第768条|e-Gov法令検索

財産分与の割合は「2分の1」ずつ

裁判所は、夫婦の貢献度を平等に評価するため、原則として財産分与の割合は2分の1ずつとされます。
2分の1ルールは特段の事情がない限り適用され、夫婦の収入に差がある場合や、専業主婦の場合も割合の変更はありません。

ただし、以下のようなケースでは、例外として2分の1以外の割合が適用されることもあります。

  • 夫婦間の協議によって財産分与の割合を決定した場合
  • 一方の貢献度がとくに高い場合(特別な資格や能力によって多額の収入を得ているなど)

過去の裁判で「一方の貢献度がとくに高い」と判断された事例は、会社経営者や専門職(医師・航海士など)のケースです。
認められる割合には明確なルールがないため、専門職の方全員が該当するとは限りません。

財産分与は「夫から妻へ」が8割以上

令和5年度の司法統計によると、財産分与が行われたケースの約85%は「夫から妻へ」支払いが行われています。
夫の収入が高く、財産が夫名義になっている家庭が多いことなどがおもな理由でしょう。

財産分与の金額を見ると、結婚後5年未満で離婚した夫婦のうち、約半数は100万円以下となっています。
一方、結婚後25年以上経過してから離婚した場合、100万円以下となる夫婦は全体の約6.5%に過ぎません。

婚姻期間が長くなるほど共有財産は増える傾向にあり、財産分与額も大きくなりやすいことが分かります。

参考:令和5年 司法統計年報(家事編)|裁判所

財産分与は離婚後2年で請求できなくなる

現在は、離婚成立後「2年以内」であれば財産分与を請求できます。
ただし、2024年の民法改正により、請求期間が「5年以内」に延長されることが決まりました。
改正法の施行日は確定していないものの、2026年5月までに施行される予定です。

請求期限を迎えるまでは、離婚したあとでも話し合いの余地はあります。
しかし、離婚後は相手と連絡が取れなくなったり、財産を処分されてしまったりする懸念も残ります。
財産分与に関する取り決めは、離婚成立前に行っておくに越したことはありません。

話し合いがまとまらない場合は、専門家に相談のうえ、早期に請求することが大切です。

離婚時の財産分与は3種類

財産分与の方法は、以下の3種類に分けられます。

清算的財産分与 婚姻期間中に築いた財産を公平に分ける方法
扶養的財産分与 元配偶者が経済的に自立するまでの一定期間、生活の援助を目的として分与する方法
慰謝料的財産分与 精神的苦痛に対する慰謝料の意味合いを含める方法

各方法の詳細を解説します。

算的財産分与

婚姻期間中に築いた財産を、夫婦の貢献度に応じて公平に分ける方法です。
財産分与の基本となる考え方で、多くの財産が清算的財産分与の対象となります。

たとえば、婚姻生活の中で2,000万円の資産を形成した場合は、名義にかかわらず1,000万円ずつ分け合います。
共有名義の不動産であっても、持分割合に関係なく折半することが一般的です。

ただし以下のようなケースでは、財産分与の対象について揉めることがあります。

  • 一方の配偶者に帰属する財産の中に、婚姻前に取得したものが含まれている場合
  • 2分の1ルールにもとづいて分割するのが不公平な場合

当事者同士での解決が困難な場合は、専門家へ相談しましょう。

扶養的財産分与

離婚後にどちらか一方の生活が困窮してしまう場合、生活の援助を目的として財産分与が行われることもあります。

本来、離婚後に子どもがいない元配偶者を扶養する責任はありません。
しかし、これまで配偶者の収入を頼りに生活してきた方が、自力で稼げるようになるには時間がかかります。
そこで、元配偶者が経済的に自立するまでの一定期間、収入のある側がサポートする仕組みです。

あくまで例外的な支援ですが、以下のようなケースでは認められやすくなります。

  • 専業主婦などで長期のブランクがある
  • 病気や障がいが原因で就職が難しい
  • 高齢である

財産分与額は、経済的自立の準備を進めるために、最低限必要な分を支払うことが一般的です。
原則として離婚時に一括で支払いますが、事情によって分割払いとされることもあります。

慰謝料的財産分与

一方の配偶者に有責行為があった場合に、精神的苦痛に対する慰謝料として財産分与する方法です。
不倫やDVなどを原因とした離婚では、慰謝料的財産分与が選択されることもあります。

「慰謝料」と「財産分与」は性質が異なるため、本来は財産分与と別に慰謝料を請求するのが原則です。
しかし、以下のようなケースでは「慰謝料の意味合いを含めて財産分与を増額する」と取り決めることがあります。

  • 慰謝料が認められるほどの証拠がない場合
  • 離婚時に支払う(受け取る)費用を一括して議論すべき場合
  • 早期の離婚を望む場合

扶養的財産分与と同様、あくまで例外的に認められる方法です。

離婚時に財産分与の対象になるもの

財産分与の対象となるものは「共有財産」と呼ばれ、婚姻期間中に夫婦の協力によって形成した資産が該当します。
対象となる具体的な財産は、以下のとおりです。

  • 不動産
  • 現金や預貯金
  • 退職金
  • 年金
  • 保険
  • 株や貴金属など

それぞれ見ていきましょう。

不動産

婚姻期間中に取得した土地や建物などの不動産は、名義にかかわらず共有財産として扱うのが原則です。
たとえば、夫が3分の2、妻が3分の1の持分で共有名義の不動産を保有している場合でも、持分割合に関係なく公平に分け合います。

ただし、以下のような不動産は財産分与の対象となりません。

  • 結婚前から所有しているもの
  • 別居後に購入したもの
  • 一方の配偶者が親族から相続したもの

なお、住宅ローンを組んで共有名義の家を購入している場合は注意が必要です。
一方が住み続ける場合、ペアローンをお互いに返済し続けるか、住宅ローンの借り換えを検討しなければなりません。
また、不動産全体を売却するには共有相手(配偶者)の同意も不可欠です。

共有不動産を現金化する方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

内部リンク「共有不動産 現金化」

現金や預貯金

婚姻期間中に貯めたお金は、財産分与の対象です。
「誰の口座に貯めているか」「誰の収入で貯めたお金か」は関係なく、公平に分配されます。

結婚前に貯めたお金や、相続・贈与で得たお金などは財産分与の対象外ですが、すべて同じ口座に貯めている場合は注意が必要です。
対象外となるお金を判別するために、銀行に通帳の履歴開示を求め、証拠を示さなければならない場合があります。

退職金

会社から支給される退職金は、給与の後払い的性質があるため、共有財産として扱われます。
具体的には「働いていた期間」と「婚姻期間」が重複する部分に応じた金額が分配されます。

次のケースを参考に、財産分与の対象となる金額を算出してみましょう。

  • 会社の就業規則で退職金について定められている
  • 会社の倒産リスクが少ない
  • 転職が繰り返されておらず、定年まで勤務し続ける可能性が高い

将来的に退職金を得られる見込みが高ければ、財産分与の対象と考えることが一般的です。

年金

厚生年金は、財産分与ではなく「年金分割」によって分配されます。
年金分割の方法は、以下の2種類です。

合意分割 配偶者間の合意(または裁判所の按分割合決定)によって分割する
3号分割 3号被保険者であった期間について、年金事務所への申請のみで分割する

ほかにも、以下の年金は財産分与の対象となり得ます。

  • 確定拠出年金(個人型・企業型)
  • 確定給付企業年金(DB)

ただし、国民年金は分割されないため注意しましょう。

保険

生命保険や学資保険など、解約払戻金のある保険は財産分与の対象です。
結婚前に加入した保険では、婚姻期間中に払い込んだ部分に応じた払戻金が対象となります。

学資保険も、原則として支払う人(両親)の財産と見なされます。
ただし、配偶者間の合意があれば、保険料を財産分与の対象から外して養育費に含めることも可能です。

株や貴金属など

以下のような財産は「経済的な価値がある」と見なされ、財産分与の対象となります。

  • 自動車
  • 有価証券(株式や国債など)
  • 貴金属
  • 家具・家電など

有価証券は、婚姻期間中に取得したものであれば、 預貯金や不動産などと同様に共有財産と見なされます。
離婚成立時の評価額で分配され、 含み益や配当も元手の有価証券と同様に扱うことが一般的です。

離婚時に財産分与の対象にならないもの

財産分与の対象外となるのは「特有財産」です。
特有財産とは、一方の配偶者が単独で保有しており、夫婦の協力とは無関係に取得した財産を指します。

具体的には、以下のような資産が該当します。

  • 婚姻以前の財産、 または婚姻以前の財産を利用して得た利益
  • お互いの親族から相続、または贈与された財産
  • 特有財産から購入資金を出したもの

なお、財産を「特有財産である」と主張する側には、立証責任があります。
通帳や契約書、相続関連書類など、特有財産であることの客観的な証拠を用意しなければなりません。

立証できない場合は「共有財産」と推定され、財産分与の対象になるおそれがあります。

特有財産の判断は状況によって異なることがあるため、 必要に応じて専門家へアドバイスを求めましょう。
参考:民法第762条|e-Gov法令検索

離婚時の財産分与の注意点

財産分与において、事前に知っておくべき注意点を解説します。

  • 共有財産を把握し協議する
  • マイナスの財産を考慮する
  • 共有名義の不動産は共有状態を解消しておく

詳細を見ていきましょう。

共有財産を把握し協議する

最初に、夫婦の共有財産をリストアップしておく必要があります。
財産分与では、以下のような事項を取り決めなければならないためです。

  • 財産をどのような割合で分割するか
  • 財産の現物で分けるか、金銭で分けるか
  • いつまでに支払いや受け渡しを行うか

財産が把握できていないと、公平な分配ができません。
預貯金通帳で出入金の履歴を確認し合う必要があるときは、相手に通帳開示を求めましょう。

通帳開示を拒否された場合は「調停委員に説得してもらう」「弁護士に交渉を依頼する」などの対応が必要です。

マイナスの財産を考慮する

マイナスの財産は「2分の1ずつ」に分配する決まりはありません。
しかし、夫婦の共同生活において生じた負債は、財産分与の際に考慮されます。

財産分与時に考慮される借金の具体例は、以下のとおりです。

考慮される借金
  • 同居中の生活に充てた借金
  • 自宅購入のための住宅ローン
  • 子どもの学費など
考慮されない借金
  • 独身時代の借金
  • 個人のギャンブルで生じた借金
  • 夫婦どちらかの事業で生じた借金

配偶者名義の借金であっても、共同生活を営むために使われたものは考慮される可能性があるでしょう。
一般的には、プラスの共有財産からマイナス分を差し引き、残りを分配します。

共有名義の不動産は共有状態を解消しておく

夫婦で不動産を共有している場合、離婚時に共有名義を放置することは危険です。

共有不動産は、相手の同意がないと売却や活用ができません。
住宅ローンを組んでいる場合は、一方が返済を滞納したり、契約違反で一括返済を求められたりするリスクもあります。

以下のいずれかの方法で、共有状態を解消しておきましょう。

  • 不動産全体を売却して代金を分ける
  • どちらか一方の単独名義にする

共有名義の解消方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
内部リンク「不動産共有 解消」 なお、財産分与の話し合いが難しい場合でも、自分の共有持分のみであれば自由に処分可能です。
内部リンク「共有持分 売却」

離婚時の財産分与でよくある質問

財産分与の際に、発生しがちな疑問をまとめました。

  • 専業主婦でも財産分与は受けられますか?
  • 離婚時に財産分与をしない方法はありますか?
  • 財産分与時に通帳開示を拒否された場合の対処法はありますか?
  • 離婚時の財産分与で家はどうなりますか?
  • 離婚時の財産分与に税金はかかりますか?

回答を見ていきましょう。

専業主婦でも財産分与は受けられますか?

原則として、専業主婦でも2分の1の割合が適用されます。
夫の収入は、妻の家事・育児などの貢献によって支えられていると判断されるためです。

夫の名義であっても、以下のような資産は財産分与の対象となります。

  • 婚姻期間中の夫の収入で購入した住宅
  • 婚姻期間中の夫の収入で蓄えた預貯金
  • 婚姻期間中に積み上げた夫の退職金

法人名義の財産は、原則として財産分与の対象にはなりません。
ただし、会社と個人の資産が明確に区別されていない場合は、例外として分与対象として扱われることがあります。

離婚時に財産分与をしない方法はありますか?

配偶者に財産分与を求められた場合は、原則として拒否できません。
財産分与の請求権を、強制的に放棄させることも不可能です。

例外的に財産分与をしなくてもよいケースは、以下のとおりです。

  • 「財産分与を行わない」ことに合意し、その内容を離婚協議書に記載している
  • 離婚後2年が経過している
  • 分配すべき財産がない

ただし「離婚後2年」の期間は、2024年の法改正によって5年に延長されています。
改正法の施行後は、請求期限に注意しましょう。

なお、財産分与請求権を放棄した側は、原則として撤回できません。

財産分与時に通帳開示を拒否された場合の対処法はありますか?

一方の配偶者が財産分与を避けたいと考えている場合、預貯金を隠そうとすることがあります。
通帳開示を拒否されたら、離婚問題を専門とする法律事務所に相談のうえ、弁護士を通じて開示を求めることが有効です。

調停を起こして調停委員に説得してもらったり、裁判所に調査嘱託を申し立てたりする方法もあります。
ただし、手段が強制的になるほど認められるケースが限定されるため、最初は協議の形で解決を図るのが賢明です。

離婚時の財産分与で家はどうなりますか?

財産分与においては、自宅にも原則として2分の1ルールが適用されます。
家を財産分与で分け合う方法は、以下の3つです。

方法 概要 具体例
現物分割 価値が均等になるように共有財産を分け合う 夫が預貯金・車、妻が家をもらう
代償分割 均等にならない分を代償金で支払う 夫が家を取得し、妻に相当の現金を支払う
換価分割 売却益を現金で分け合う 夫婦で協力して不動産全体を売却する

どちらか一方が家に住み続けたい場合は、現物分割か代償分割を選択することになるでしょう。
双方の希望や経済状況を考慮し、納得できる落とし所を見つけることが大切です。

離婚時の財産分与に税金はかかりますか?

財産を受け取っても、原則として贈与税はかかりません。
離婚による財産分与は「財産の清算」や「離婚後の生活保障」であり、贈与とは見なされないためです。

ただし、以下の条件に当てはまる場合は税金がかかります。

条件 課される税金
  • 分与された財産の額が、あらゆる事情を考慮しても多過ぎる場合
  • 贈与税や相続税を免れるために行われた離婚だと認められる場合
贈与税
不動産を受け取った場合 固定資産税
受け取った不動産の名義変更を行う場合 登録免許税

財産を「渡す側」の視点で見ると、金銭で分配する場合は税金がかかりません。
一方、不動産を渡す場合では、財産分与した不動産の時価が購入時よりも上がっていると、譲渡所得税が課されることもあります。
参考:離婚して財産をもらったとき|国税庁

まとめ:離婚時の財産分与は共有名義の不動産に注意

離婚時の財産分与は、名義にかかわらず「2分の1」ずつに分け合うことが原則です。
現物を折半できない財産は、公平に分割するために十分な話し合いを行いましょう。

とくに、夫婦の共同名義で購入した不動産がある場合は注意が必要です。
共有状態を解消しないまま離婚すると、後々トラブルに発展するおそれがあります。
共有名義の不動産を処分したい方は、蔵正地所をご検討ください。
創業30年にわたる共有持分の買取実績と、パートナー企業との連携をもとに、お客様の希望に最大限寄り添った提案をいたします。

法律事務所との連携体制も整っているため、トラブルを抱えている場合でも安心してご依頼いただけます。
離婚問題でお悩みを抱えている方は、お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

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小川 竜二 Ryuji Ogawa

蔵正地所株式会社/代表取締役

《資格》宅地建物取引士